いま、注目を集める研究会がある。わずか2年で約1000人規模へ拡大し、東大新入生の20人に1人が所属する超人気研究会に成長した、「東大金融研究会」だ。創設者は外資系ヘッジファンドに20年在籍し、超一流の投資家として活躍してきた伊藤潤一氏。東大金融研究会ではお金の不安から自由になり、真の安定を得るために「自分の頭で考える」ことを重視している。世の中に溢れる情報や他人の声に振り回されず何が正しいのかを自分で判断し、物事を本質的に理解し、論理的に思考を展開することで、自立した幸せな人生を歩むことができるからだ。本連載では、東大金融研究会の教えを1冊に凝縮した初の書籍『東大金融研究会のお金超講義』から抜粋。頭のいい人だけが知っている「お金の教養と人生戦略」を紹介する。
意思決定の数を増やす
私は、学生たちが自分の価値観に沿って生き方を決められるようになるためには「意思決定の数」を増やすことが必要だと考えています。
そもそも日本の枠組みは、意思決定の数が圧倒的に少ないのです。
たとえば、子どもがクラブに入ってサッカーをやっているとしましょう。クラブには150人のメンバーがいるとします。
一般に日本の場合、試合に出られるのは1軍のメンバーだけですから、11人+5人、つまり16人程度です。150人のメンバーのうち、意思決定するチャンスが与えられるのは16人だけということです。
これがオーストラリアの場合、150人のメンバーがいれば、Aチーム、Bチーム、Cチーム、Dチーム、Eチーム、Fチームというように複数のチームに分かれ、それぞれのチームごとにトーナメントが行われます。Fチームのメンバーであっても、そのトーナメントで優勝するインセンティブがあるわけです。6つのチームがあれば、意思決定するチャンスが90人以上に与えられます。
このような仕組みの違いによって、子どもの頃から経験する「意思決定の数」には大きな差が生まれていきます。