地銀DX人材の不足は経営の問題
今回はDX人材の確保について議論を展開したい。DXは、企業が自ら変革を主導して初めて達成されるものであり、DXを推進するための人材についても、外部のベンダー等に任せるのではなく、企業が自ら主体的に確保するべきである。
DXの推進には、次に述べるような多彩な能力を持った人材(DX人材)が必要となる。すなわち、自社のビジネスを深く理解した上で、データとデジタル技術を活用して、それをどう改革していくかの構想力を持ち、実現に向けた明確なビジョンを描き、社内外のステークホルダーを牽引し、DXを実行できる人材である。また、顧客に対して提供する価値を現実のシステムへと落とし込む技術者も重要だ。
これまで地方銀行では、デジタル技術の活用についてはシステム部門で考え、自行のビジネス改革の進め方については企画部門で考える、といった業務の縦割りが徹底され、部門をまたいだ人材交流は乏しかった。またデータの活用について、その重要性は認識していたものの、自行ビジネス改革のための活用というような経営レベルの視点が希薄であった。結果として、残念ながら地銀には前述したような能力を持つDX人材は見当たらない。今後、こうした人材をどうやって育成するべきかを考えるべきであろう。