「優秀な部下には自由にやらせる」という上司の致命的な勘違いPhoto:PIXTA

ジョブ型雇用の拡大とともに専門性の高い人材が増えてくる中で、自分よりも専門的な知識や経験が優れている部下をどれだけ生かすことができるかが、チーム全体の成果に大きく影響してきます。「優秀な部下には自由にやらせることが人材活用の鉄則だ」という話をよく聞きますが、これは、実は本人にとってもチームにとってもマイナス要因でしかありません。なぜ「自由にやらせる」ことが悪影響なのでしょうか。(アークス&コーチング代表 櫻田 毅)

「優秀な人に自由にやらせる」方針は
本人にもチームにもマイナス影響!?

 ジョブ型雇用や中途採用枠の拡大などに見られるように、各企業は専門性の高い人材の確保に必死になっています。人事ローテーションがなくなり、より専門性に磨きをかける人や、高い専門性を武器に転職してくる人たちも増えてきています。

 技術革新によってビジネスが急速に多様化していくため、専門性もより一段と多様化、細分化し、分野によっては、上司よりも部下の方が高い専門性を持っているケースも珍しくなくなってきています。そこで、彼らをどうマネジメントすべきかが、大きな問題としてクローズアップされつつあるのです。

「優秀な人には自由にやらせる」―――多くの企業は、これが人材活用のあるべき姿だと考えています。しかし、それは、本人にとってもチームにとっても適切なものではなく、むしろマイナス要因にさえなります。

 この点を理解していないと、せっかくの人材を効果的にチームの成果につなげることができないだけでなく、本人の成長を減速させてしまいます。では、今の時代、優秀な人材に対してはどのようなマネジメントが求められているのでしょうか。