課長や部長からさらにステップアップして出世する人は何が違うのか。実際に部長が直面した課題を例に挙げながら、事業が伸び悩んでいるリーダーにこそ身に付けてほしい「役員に必須のスキル」を解説する。(人事コンサルタント 平康慶浩)
事業を伸ばせない部長
何が足りないのか
任された事業は滞りなく運営しているのに、新しい展開を生み出せない…。
課長や部長としては活躍できるものの、なかなか役員にはなれないのがこのタイプです。今回は私の元に相談があった事例を取り上げながら、部長からさらにステップアップするために「必須のスキル」について解説していきます。
「最初は良かったんですが、どんどんダメになっているんです」
急な相談がある、と私に連絡してきたのは、某企業グループの社長。その第一声は、居酒屋事業を任せている部長についての不満でした。
弊社の長年のクライアントである同社は、ドラッグストア、飲食店、その他各種店舗経営など複数の事業展開を進めており、安定経営を誇ります。
しかし長年の悩みが、成長率10%を超えないこと。ドラッグストア事業は10%以上の成長率で伸びているのですが、他の事業が足を引っ張っていると嘆きます。特に、冒頭の居酒屋事業については伸び悩みが大きな課題で、プロジェクトを担っている部長に不満が募っていたようです(念のため補足しておくと、これは新型コロナウイルス感染拡大前のお話です)。