夜道で警戒する人、されて傷つく人…「自意識過剰」か「差別」かSNSで議論に写真はイメージです Photo:PIXTA

暗い夜道で、急に後ろから足音が聞こえて驚いた、という経験をしたことのある人は少なくないのではないか。一方で、路上やエレベーターで女性から警戒されていることを感じて悲しかった、という声も聞くことがある。ネット上でたびたび話題になる、警戒した側と警戒されたかもしれないと傷つく側の問題。決着はあるのか。(フリーライター 鎌田和歌)

「警戒をからかうようなまねしないで」
ツイートに共感の嵐の一方、傷つく人も

「夜道で女性に避けられたんですよ〜、僕は無害なのに」って漫画時々見かけるけど……。

 先日、こんな風に始まるツイートを見かけた。この原稿を書いている3月24日時点で、1.9万リツイートされ、12万の“いいね”がついている。

 このツイートの続きは、「それは自虐ネタとか日常のトホホネタのつもりなのかもしれないけど、女性は割と真剣に命を守るためにやってる行動なんで、からかうような真似はしないでほしい」(@iggiedog/2022年3月21日18:50)である。

 一読して意味のわかりやすいツイートで、いいねの数からも大きな共感を持って迎えられたことがわかる。

 このツイートで指摘されているような漫画は、ツイッター上で筆者も見かけたことがある。漫画自体はこのツイートで言及されている通り、自虐ネタ、トホホネタにすぎないのだが、そのツイートには必ずと言っていいほど、「自意識過剰な女っているよな」「男性というだけで警戒するのは差別だ」といった内容の、ちょっとコワいリプライや引用RTがついており、ため息をつきたくなる。

 警戒する女性を「自意識過剰」と言ったり、「ブス、年増のくせに」と揶揄(やゆ)したりすることは、これまでメディアの中でも頻繁に行われてきたと思う。言う側は軽い冗談のつもりなのかもしれないが、そういったものに接するたびに少しずつ心を削られてきた。

 性犯罪のニュースで犯行時間が夜間であることが報じられると「そんな時間に歩いている女も悪い」といった被害者バッシングが行われることもよくある。被害に遭ったら警戒感が足りなかったことをたたかれ、警戒したら「自意識過剰」と言われるのはツラいものがある。

 一方、「悪いことをする気持ちがないのに警戒された」という出来事の不快感や傷つきには理解できるところもある。女性が女性から警戒されることは男性よりも少ないだろうが、たとえば「一人でいる幼い子を見かけ、心配して声をかけたら、近くにいたその親に嫌な目で見られた」というような場合を想像してみると、その残念な気持ちはわかる。