レビュー
SNSが戦争に与える影響力の大きさは、私たちの想像以上だ。
たとえば本書『140字の戦争 SNSが戦場を変えた』は2014年のウクライナ内戦において、ロシアがSNS上でどのように情報工作をしたのかを取り上げている。またイスラエルのガザ侵攻において、パレスチナ人少女がツイッターを使いこなし、イスラエルに対する国際的な非難を巻き起こした事例についての言及もある。こうした事例が意味するのは、SNSが戦争において、大きな影響力を持つようになったということだ。
しかしそれ以上に興味深いのは、SNSが報道のあり方に変化をもたらしたことである。2014年7月17日に起きた、マレーシア航空17便撃墜事件を覚えているだろうか。ロシア政府はこれを「ウクライナの仕業」と発表したが、それは嘘であると暴露したのは民間人たちだった。彼らはSNSに投稿された大量の情報の真偽を入念に確かめることで、従来のジャーナリストや調査機関にはできなかったことを成し遂げたのである。
SNSによって戦争のやり方や報道に変化が生じている――そのことを本書は鮮やかに描き出している。そしてそれこそが、本書最大の価値だと要約者は考える。戦争に興味がなくても、広告・メディア関連業務に就いている人であれば必読の書だ。(若旦那)