欧州がロシア産ガス依存からの脱却を図る中、予想外にも、極めて強い市場要因と政治的な思惑から、世界のエネルギー供給市場は既に再編されつつある。米国は25日、年内に150億立方メートル超の液化天然ガス(LNG)を欧州に追加輸出(欧州向け輸出は6割超拡大)、さらに2030年まで少なくとも年間500億立方メートル上乗せすることを約束した。ジョー・バイデン米大統領は先頃、ブリュッセルで欧州首脳と会談し、ウクライナ情勢、および欧州のロシア産エネルギーからの自立に向けた米国の支援態勢について協議した。欧州連合(EU)が来年、ロシア産ガスの輸入量を従来の3分の1に削減する計画を実現するためには、500億立方メートルのLNGを追加輸入する必要がある。米供給業者は、顧客の選択における自由度が最も高いため、目先の輸入先としては最適だ。他の大規模生産国であるオーストラリアとカタールは供給量の大半が長期契約の対象になっている。