哲学の知識、思考法、対話を通じて企業の課題を分析する「哲学コンサルティング」への関心が高まっている。ここ数年、Google、AppleなどGAFAが哲学者を雇用したことも話題になった。哲学コンサルは、「なぜそうなのか?」「それはどういう意味か?」と問いを交えながら、筋道を立てて考えを深めることで、ビジネスの本質的な課題や進むべき道を探ろうという試みともいえる。哲学コンサルは、企業にどのような価値をもたらすのだろうか。(取材・執筆/末吉陽子)
問いかけと対話が肝となる
哲学コンサルの手法
哲学を事業内容にする日本初の企業、クロス・フィロソフィーズ。現在、業界問わず経営者や従業員向けに、哲学の専門知に基づいたコンサルやセミナーを提供している気鋭の会社だ。組織開発、ビジョン構築、人材育成などビジネスにおけるさまざまな分野で、哲学コンサルティングの引き合いがあるという。
「哲学者が教え示すのではなく、言うなれば『伴走者』として、ともに思考を深めることを重視しています」と話すのは、同社代表の吉田幸司氏。上智大学哲学研究科博士課程修了後、日本学術振興会特別研究員PD(東京大学)を経て、クロス・フィロソフィーズを立ち上げた。哲学の博士号を持つ吉田氏は、哲学コンサルの意義について次のように説明する。