ロシア政府は長らく、旧ソ連のバルト3国に足がかりを築いているつもりだった。「鉄のカーテン」が消えた後に取り残された大勢のロシア語を母語とする住民が、世論を動かし、西側諸国の東方拡大を食い止めるロシアの手段と化していたと治安当局者らは話す。だが今や、ウラジーミル・プーチン大統領がウクライナに仕掛けた戦争によって古くからの忠誠心が試練を受け、世代間の分断があらわになっている。ラトビアでは、多くの若いロシア系住民が、年上の家族と話すときはウクライナで起きていることに極力触れないと話す。家庭内の人間関係を損ないたくないからだ。「その話題は避けている」とリガの中央市場で果物を売るソフィア・ドゥボワさん(16)は言う。