北大西洋条約機構(NATO)加盟国の間で、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに国防費の増額を急ぐ動きが加速している。NATOが31日発表した2021年の年次報告書によると、加盟30カ国は全体で国防費を約2%増やした。加盟国の国防費総額約1兆ドル(約121兆4220億円)のうち、ほぼ7割は米国が占める。他の29カ国は国防費を増やす方向にあるものの、大半は目標とする水準に達していない。2014年のロシアによるクリミア併合を受けて、NATO加盟国は2024年までに国防費を国内総生産(GDP)比で少なくとも2%まで引き上げることを目標に掲げた。今回の報告書によると、2%の目標に達したのは米国を含む8カ国にとどまり、前回報告書の11カ国から減少した。