ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。大人の教養として世界の国々を知ろうと思った時におすすめ1冊が、新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。本書から特別に一部を抜粋して紹介する。
ノルウェーってどんな国?
ノルウェーはスカンディナビア半島の西岸を占める国で、北部はロシアとフィンランドに隣接し、東部はスウェーデンに隣接しています。
国土の大部分は山脈の西斜面にあるため、山岳氷河とフィヨルドが多く、平地が少ないことが地形的な特徴です。
欧州最北の漁業大国
古くから世界有数の漁業国でしたが、乱獲による水産資源の枯渇で漁獲量は1970年代をピークに減少しました。そのため漁獲量や漁獲サイズに制限を設け、高値で売れるものだけを水揚げすることで資源の回復と収益性向上を実現しました。
日本の対ノルウェー貿易は、輸入品の28.6%がさけとます、12.0%がにしんです(2020年)。フィヨルドは養殖に向いた地形なので、1990年代からさけ・ますの養殖にも力を入れています。
電力のほぼすべてを水力発電でまかなっており、電力多消費のアルミ精錬やシリコン、化学肥料などの工業が発達しています。1970年代から北海油田の開発が始まり、石油輸出国となりました。
石油事業の収入は、政府が所有する世界最大級のファンド「ノルウェー政府年金基金」で運用され、将来予想される公的年金コスト増加への蓄えとなっています。
2008年、ノルウェー本土と北極点の中間にあるスバールバル諸島に、食用植物の種子を半永久的に保管するスバールバル世界種子貯蔵庫が開設されました。ここでは、気候変動や戦争に備えて、世界中から集めた約4000種93万品種の種子が冷凍保存されています。
ノルウェー王国
面積:32.4万㎢ 首都:オスロ
人口:551.0万 通貨:ノルウェー・クローネ
言語:ノルウェー語(公用語)、サーミ語、フィンランド語
宗教:ノルウェー国教会(福音ルーテル派)68.1%
隣接:スウェーデン、フィンランド、ロシア
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIAのThe World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)