ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。大人の教養として世界の国々を知ろうと思った時におすすめ1冊が、新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。本書から特別に一部を抜粋して紹介する。
ルーマニアはどんな国?
東部は黒海に面し、東はウクライナ、西はハンガリー、南はバルカン半島に続く位置にあります。2つの大きな山脈が東西と南北に走り、その周りを取り囲むように平野が広がります。
また、ドナウ川とその支流が国土全体を覆うように流れ、豊かな水資源を生み出しています。温暖な気候ですが、夏と冬の寒暖差が大きく年中降水があります。
スラブ系民族の国が多い東ヨーロッパのなかで、ルーマニアはラテン系民族の国であり、国名はローマ人とスラブ系住民が建国した歴史に由来します。
第二次世界大戦後、約40年間続いた社会主義体制
第二次世界大戦では最初は枢軸国側で、後に連合国側で参戦しました。戦後は、周辺諸国とともに社会主義体制をとりましたが、独自路線を歩み、「プラハの春」に対するワルシャワ条約機構軍には不参加の姿勢をとりました。
プラハの春:1968年にチェコスロバキアで起こった民主化運動
ワルシャワ条約機構:1955年にソ連と東欧の社会主義諸国(東ドイツ、ポーランド、チェコスロバキア、ハンガリー、ブルガリア、ルーマニア、アルバニア)が、NATO(北大西洋条約機構)に対抗して結成した軍事同盟。
1965年以来大統領による独裁的な強権政治が続きましたが、1989年に社会主義を掲げる独裁体制は崩壊し、1990年代には非社会主義政権へと移行しました。2000年代にNATOとEUに加盟しています。
石油や天然ガスを産出するほか各種の工業も盛んで、1990年代以降、外国企業が進出しました。自動車関連などの製造業に加えて、ICT関連の産業が増えつつあり、賃金上昇も顕著になっています。また、穀物類、野菜、果実、ヒマワリ等の生産が多い農業国でもあります。
ルーマニア
面積:23.8万㎢ 首都:ブカレスト
人口:2123.0万 通貨:レイ
言語:ルーマニア語(公用語)、ハンガリー語、ロマニ語
宗教:東方正教会81.9%
隣接:ウクライナ、モルドバ、ブルガリア、セルビア、ハンガリー
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIAのThe World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)