ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。大人の教養として世界の国々を知ろうと思った時におすすめ1冊が、新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。本書から特別に一部を抜粋して紹介する。
バルト三国のエストニアはどんな国?
エストニアはヨーロッパ北東部に位置するバルト海に面した国で、バルト三国の中で最も北にあります。東はロシアに接し、南はラトビアに接しています。
国土の大半は湖沼や湿地の多い平野で、比較的おだやかな気候です。農業では小麦やジャガイモの栽培が盛んです。
経済自由度が高く、金融・保険分野では外国資本が市場の大半を占有するなど、外国企業に依存する経済体質です。
輸出品は機械類などが多いです。オイルシェールを産出し、主に発電に利用されていることもあり、火力発電の割合が71.0%(2019年)と高い国です。
行政サービスはオンライン化、中世の面影を残す街並み
近年、IT人材の育成を推進し、IT技術の発展で経済を成長させてきました。ほぼすべての行政サービスがオンライン化されている「電子国家」です。
バルト海に面する港町である首都タリンの旧市街には、城塞都市だった中世の面影を残す街を囲む城壁や塔、教会などの歴史的遺産が多く、世界遺産に登録されています。
1991年にソ連から独立して以来、欧州への復帰を目指してNATO、EU加盟を最大の外交目標とし、2004年3月及び5月にそれぞれ加盟を実現しました。価値観を共有するEU、大西洋を跨ぐ強力な同盟関係の推進が外交の基本方針です。
エストニア共和国
面積:4.5万㎢ 首都:タリン
人口:122.0万 通貨:ユーロ
言語:エストニア語(公用語)、ロシア語
宗教:正教16.2%、福音ルーテル派9.9%
隣接:ロシア、ラトビア
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIAのThe World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)