本田健 絶賛「すべての幸せがこの1冊に詰まっている!」
『92歳 総務課長の教え』の著者で、大阪の商社に勤務する92歳の玉置泰子さん。「世界最高齢の総務部員」として、ギネス世界記録に認定された現役総務課長だ。1956(昭和31)年の入社から総務一筋、勤続66年。「私に定年はない。働けるかぎりは、いつまでも頑張る!」と生涯現役を誓う“世界一の先輩”が、長く幸せに働く63の秘訣を手とり足とり教えてくれる。

【92歳の現役課長が教える】<br />50年・毎朝30分ヨガを続けて得た極意鳴田小夜子(KOGUMA OFFICE)

仕事ほど人を成長させるものはない

【前回】からの続き

2020年、「世界最高齢の総務部員」としてギネス世界記録をちょうだいしましたが、私は認定式の直前まで認定されたことを知りませんでした。

認定式でいきなり感想を聞かれ、驚きながら口をついて出たのは、「積小為大(せきしょういだい)」という言葉でした。これは江戸時代の思想家、二宮尊徳の言葉で、「小さな努力の積み重ねが、大きな成果につながる」という意味です。

私は92歳のいまも働いていますが、それは一日一日の積み重ねの結果でしかありません。

はじめから、90歳をすぎても働き続けようと思っていたわけではありません。

ただし、私には長年のモットーがあります。それは「今日頑張れたら、明日も頑張れる」というもの。

私は50年ほど、毎朝30分のヨガを続けています。ヨガでは瞑想もしますが、その極意は「いまを生きることに集中する」ということ。明日がどうなるかを考える前に、今日を精いっぱい頑張ればいいのです。

今日の頑張りは、きっと明日につながります。だから、明日も頑張れるに違いない。

私は長年、そう思い続けています。

寝て起きたら、また新しい日がはじまります。そのくり返しで一日一日をリセットして、新たな気持ちで「いまを生きる」ことを実践しているだけなのです。

私は、今日は昨日の続きではないと思っています。朝起きた瞬間、「まだ眠たい、二度寝しようかな」とか「着替えて会社に行くのがしんどい」などと思ってしまう人は、昨日がまだ終わっておらず、リセットできていないのかもしれません。

昨日、何か失敗したとしても、それを翌日まで持ち越してクヨクヨしても仕方がありません。すぎたことは、あくまでも過去。

昨日のことは、もうやり直せないのですから、リセットして前を向いて、今日を懸命に生きるしかないのです。

「今日頑張れたら、明日も頑張れる」と思えるもう一つの理由は、人はいくつになっても少しずつ成長できるからです。筋肉だって鍛えれば、何歳になっても成長できるそうです。

子どもは、お母さんのお腹にいるときから、日々スクスクと成長しています。生まれてお腹から出たあとも、成長はとまりません。

寝返りが打てるようになり、ハイハイをしはじめ、やがてつかまり立ちして、自分の脚で立ち上がって歩きはじめるのです。

会社員としての成長も、同じようなことです。入社したてで何もわからないところから、日々経験を積み、スキルアップしていきます。

赤ちゃんのような急成長ではないとしても、仕事の面では日一日と前進し、成長しているといっても過言ではありません。

私は92歳になるいまでも、昨日よりも今日、今日よりも明日のほうが、ちょっぴり成長しているという実感があります。

今日より明日は少しでも成長していると思うからこそ、「今日頑張れたら、明日も頑張れる」のです。

【次回へ続く】