マンションの管理状況が資産価値に影響?4月開始「管理計画認定制度」に要注意写真はイメージです Photo:PIXTA

マンションの購入時に手渡される管理規約。マンション生活と管理運営の根幹となるルールブックだが、その重要性を認識している人はどれだけいるだろうか。また、2022年4月から始まった「マンション管理計画認定制度」によって、今後はマンションの管理状況がその資産価値に影響することになるかもしれない。そこで今回は、マンションの将来を左右する存在でもある管理規約について見ていきたい。(株式会社シーアイピー代表取締役・一級建築士 須藤桂一)

理事になったら一読すべし
管理規約は「マンションの憲法」

 マンションを所有している皆さんの中で、自分のマンションの管理規約を読んだことがあるという人はどれくらいいるだろうか? 中には、マンションの購入時に渡されたきり、一度もページを開いたことがないという人もいるかもしれない。

 管理規約とは、分譲マンションなどの区分所有建物に関する権利関係や管理運営について定めた法律である「区分所有法」(正式名称は「建物の区分所有等に関する法律」)に基づいて決められた規約のことだ。敷地、建物、付属施設の範囲とその使用方法、集会、管理組合、理事会、会計に関する事項など、快適で円滑な共同生活を送るためのルールや管理組合の運営に必要な事柄などが定められている。

 区分所有法と違って、管理規約に法的な拘束力はないが、全ての区分所有者に対して効力が及ぶマンションの自治規範であり、「マンションの憲法」ともいえる存在だ。たとえ区分所有権を持たない賃借人(占有者)であっても、建物の使用方法や生活上のルールについては、管理規約の規定を守る必要がある。

 そして、マンションの管理運営を行う管理組合も、管理規約に定められた内容に従うことになり、管理組合の業務の執行に当たる理事会も、その運営においては当然、管理規約の内容を順守することが求められる。

 そこで、輪番制なり、立候補なりで、いざ理事会の理事(役員)になったなら、まずは管理規約を読んでいただきたい。本来なら、マンションにお住まいの皆さん全員が管理規約に目を通していることが望ましいが、少なくとも理事に就任した方には、ぜひ管理規約を一読していただきたいと思う。

 ほとんどのマンションの管理規約は、国土交通省が作成した規約のモデルである「マンション標準管理規約」を基にして作られている。多くの条文から成る内容で、条文間の引用も多く、決して読みやすいものとはいえない代物だ。それを、いきなり最初から最後まで読み通し、内容を全て理解しろといっても容易なことではないだろう。

 理事になったからといって、なにも管理規約の内容を一語一句読み解いたり、暗記したりする必要はない。これから管理組合の業務に携わるに当たり、どんなことがルール化されているのかを知ることが目的なので、まずは目次や見出しを眺める程度でいい。ぜひ、ざっとでも管理規約に目を通し、最初の理事会に臨んでいただきたい。

 そして、手ぶらで理事会に参加するのではなく、常に管理規約を持参しよう。理事会の議題にはさまざまな事柄が上るが、何が問題なのかを検討したり、何かを決めたり、判断するのに迷いや不安があるようなときには、必ず管理規約に立ち戻るようにするのだ。

 理事会において、理事長も、理事も、監事も、そして理事会の会議に立ち合う管理会社のフロント担当者も、管理規約に違反したり、規約を逸脱するような事柄を決定したりすることは許されない。なんといっても、管理規約は「マンションの憲法」だからだ。

マンション管理と共同生活のルールブック
管理規約と使用細則を知る

 では、管理規約には具体的にどのようなことが書かれているのだろうか。国交省のマンション標準管理規約では、主に次のようなことが定められている。