『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら

全部無料!上司に「競合企業をリサーチして」と無茶振りされたら使えるサイトPhoto: Adobe Stock

[質問]
 社会人になったばかりの者です。

 自宅待機中に会社から「競合他社についてレポート制作」の課題を与えられました。しかし、図書館が休館中で必要な情報を本から得ることができません。お金に余裕がないので、できるだけインターネットで調べものをしたいのですが、IR情報がない会社もあり、業界・企業研究がはかどりません。インターネットのみでの調べものでも、ある程度根拠の示せるレポートを作りたいと考えています。IR情報以外には何を調べたら良いでしょうか?

無料で使えるサイトがたくさんあります

[読書猿の回答]
 日経テレコンや企業情報データベース eolは有料なので、無料で何とかしたいというご質問と思いました。

 手っ取り早いのは、いくつかの証券会社で口座を開設して(開設・維持費用とも無料のところが多いですが要確認)会社四季報を無料で使えるようにすることです。

 他に無料のものでは、当たり前ですが就職情報サイトがあります。その本質は学生向けの広告であり、企業にとってよい情報が掲載されるところですが、基礎的な企業情報がまとめられているとも言えます。

 もうひとつ当たり前過ぎて忘れがちなものに iタウンページがあります。事業内容が意外と詳しく載っており、IR情報はおろかホームページさえない企業を調べるときに役立ちます。

 財務情報については、直近5年間の有価証券報告書がEDINETで検索・閲覧できます。それ以前の有価証券報告書・営業報告書については企業史料統合データべースで検索・閲覧できます(最古で明治10年からのデータがあります)。

 他には東京大学経済学部図書館が提供するEngel(営業報告書・有価証券報告書・目論見書データベース)があります。

 より速報性に優れた決算短信(自社の決算内容の要点をまとめたもの)は、適時開示情報閲覧サービス東証上場会社情報サービスで検索・閲覧することができます。

 個々の企業の情報はそれだけを見ていても理解しにくいかもしれません。比較対象として、その産業や業界ごとの統計データや業界動向へのリンクは、国会図書館リサーチ・ナビの「企業に関する統計」にまとまっています。同じく海外の会社情報の調べ方もまとめられています。

 これらは「企業を調べる」の下位カテゴリーです。

 他には、日本最初のビジネス図書館である、大阪府立中之島図書館のビジネス支援サービスのページに、「企業情報をしらべるには」として膨大なリソースが挙げられています。ご参考まで。