仕事、人間関係…周囲に気を使いながらがんばっているのに、なかなかうまくいかず、心をすり減らしている人も多いのではないだろうか。注意しているのに何度も同じミスをしてしまう、上司や同僚といつも折り合いが悪い、片付けが極端に苦手…。こうした生きづらさを抱えている人の中には、「能力が劣っているとか、怠けているわけではなく、本人の『特性』が原因の人もいる」と精神科医の本田秀夫氏は語る。
本田氏は、「生きづらさを感じている人は『苦手を克服する』ことよりも、『生きやすくなる方法をとる』ほうが、かえってうまくいくことも多い」と言う。
本田氏が精神科医として30年以上のキャリアを通して見つめてきた「生きづらい人が自分らしくラクに生きられる方法」についてまとめた書籍、『「しなくていいこと」を決めると、人生が一気にラクになる』から今回は特別に、一部内容を抜粋、編集して紹介する。
突発的な仕事でスケジュールが予定が狂う…
ものごとの優先順位をつけて、実行していくこともできる。でも、ほかの人がかかわってきたときにスケジュールが崩れてしまう人がいます。
たとえば、職場で上司から雑用を指示されると仕事の順番が乱れてしまう、といったケース。
自分の仕事にしっかりと優先順位をつけ、締め切りを計算しながら着実に進めていくことができるのに、雑用を頼まれると断れず、引き受けてしまうのです。
その結果、自分の仕事を完了するのが締め切りギリギリになったり、期日を過ぎてしまったりします。
雑用への対応で自分のスケジュールがうまく進まなくなったときは、「対応しきれない自分が悪い」「もっと余裕を持って計画を立てなければ」と自分にさらに負荷をかけるのはやめましょう。
このタイプの人は、そもそも自分の意見を相手に面と向かって言うことが苦手だったりします。
引き受けないほうがいいとわかっていても、そのことを相手にはっきりと伝えることができず、曖昧な返事をして、結局引き受けてしまったりするのです。
「飲み会に誘われると嫌でも断れない」というのも同様のパターンです。
自分のなかで優先したい用事があっても、誘いを断ったら人間関係が悪くなると考えて、応じてしまう。飲み会を優先順位の上のほうに置いているわけではなく、断りづらいからガマンしているのです。
このような悩みは優先順位の問題ではなく、頼まれごとをしたときの受け答えの悩み、人間関係の悩みとして考えたほうが、対策をとりやすくなるでしょう。
断るのが苦手な人は、本当は「相手に合わせなくてもいい」「断ってもいい」ということがひとつの対策になるのですが、あまり実践的ではないかもしれません。
断るのが苦手な人は、相手に「嫌ならいいよ」「忙しいよね」などと気を使われると、ますます断りづらくなります。「断ってもいい」とわかっていても、はっきり意見を言えないから悩んでいるのです。
この場合は「きっぱり断れなくてもいい」「そんな自分も悪くない」と考えて、断るのではなく、「相手に質問すること」をおすすめします。