過去2年にわたり新型コロナウイルスをほぼ完璧に封じ込めてきた中国だが、ここにきて最大都市が10万人を超える感染者急増に見舞われている。上海市政府は依然、コロナ感染による死者を認めていない。しかし正式に認められるかどうかにかかわらず、高齢者医療施設の一部で死者が急増していることはコロナによる死者が確実に出ていることを示している。これは中国全体で起こることの前触れだろうか。必ずしもそうとは言えない。だが、中国政府が早急に高齢者へのワクチン接種やブースター(追加接種)を進め、医療施設への大型投資に着手しなければ、人的および経済的な被害は計り知れないものになるだろう。長らく極めて高い効果を発揮していると思われてきた「ゼロコロナ」戦略だが、香港や上海での感染急増は、これが突如として効力を失うという現実を見せつけた。今まで以上に感染力の強い変異株が出現したためか、ウイルス封じ込めの成功が過信を生んだためかもしれない。
コロナ大流行の上海、中国の前途を暗示?
持続可能な封じ込め戦略にシフトする時間はなくなりつつある
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