直接会うことが減り、オンラインでのやりとりが増えてきた今「手書き」文字は「個性」や「人柄」に触れられる数少ないツールとしてビジネスでの大きな武器となります。とはいえ、忙しいビジネスパーソンが字のおけいこに費やせる時間はさほどありません。そんな方に向けた新発想の美文字本が『簡単ルールで 突然、美文字が書ける』。字が苦手な人を長年指導してきた著者・萩原季実子さんが「字がうまく書けない理由」を研究し、少し変えるだけで飛躍的に字がうまく見えるポイントだけをルール化した本で、練習なしでも、誰でも、自分史上最高の「美文字」が書けるようになると話題です。この連載では、本書より抜粋しながら美文字のコツを紹介いていますが、今回は「美文字」になると、いったいどんなことが起こるのか、萩原先生ご自身が経験したエピソードをご紹介しましょう。
立場によっては、汚い字は会社のイメージダウンにつながる
手書き文字は「武器」になる一方で、思わぬ弱点になることもあります。
ある40代男性の会社員の生徒さんのお話です。
この方は「字が汚くて、部下から指摘された。『このままでは、会社のイメージダウンにつながるので、字の練習をしてほしい』と言われた」と、頭を抱えてレッスンにいらっしゃいました。
とても仕事ができる方なのですが、唯一「字が汚い」のがウィークポイント。
字が汚いと、取引先と契約を交わす際や、プレゼンでホワイトボードを使うとき、その文字のイメージが会社のイメージにつながってしまうことがあります。また、取引先として信頼できるのか……といった不安にもつながる可能性もあります。部下の方も、それがとても残念だと思われたからこそ、厳しい指摘をされたのでしょう。
その方は、このままでは恥ずかしい、とまずは自分の名前、会社名、肩書をきれいに書けるようになるところから練習をスタートされました。
そして本書でも紹介している簡単ルールをいくつか教えてあげたところ、みるみるうちに、社外の人に見せても恥ずかしくない文字が書けるようになられました。部下にも安心してもらえるようになり、仕事でも本来の実力をいかんなく発揮されるようになりました。
立場によっては、その人の「字」のイメージが「会社」のイメージにつながることがあります。ビジネスパーソンは立場に応じた外見をするのと同様、書き文字も信頼できるきれいな文字を書けるようにしたいものです。