ウクライナ東部への全面攻撃に向けてロシア軍が兵力を集結させる中、さらに数千人の兵士が戦略的な要所である南東部の港湾都市マリウポリを包囲しつつある。マリウポリでは、ウクライナ兵が徹底抗戦の構えを崩しておらず、ロシア軍は7週間が経過しても制圧できずにいる。マリウポリはロシアがクリミア半島を併合した2014年、ウクライナからの分離独立を唱える親ロ派勢力が制圧した地域に隣接している。ロシアがマリウポリを制圧すれば、黒海のクリミア半島から東部ドンバス地方のルガンスクまで幅広い地域を支配下に収めることになり、今後想定される東部での激戦に数千人の兵士を再配置することが可能になる。何より、侵攻開始当初にウクライナの首都キーウ(キエフ)と黒海における軍事作戦でつまずいたウラジーミル・プーチン露大統領にとっては、第2次世界大戦でナチス・ドイツに勝った5月9日の対独戦勝記念日という重要イベントで、マリウポリ陥落を成果として強調できる。
マリウポリで根強い抵抗、いらだつロシア
廃墟と化したマリウポリ、それでもロシアは制圧できず兵力投入を維持
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