ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。大人の教養として世界の国々を知ろうと思った時におすすめ1冊が、新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。本書から特別に一部を抜粋して紹介する。
インドネシアってどんな国?
インドネシアは約1万7500もの島々で構成される島国で、東西約5100㎞、南北約4500㎞の広大な領域に約350の民族、約700種類の言語を持つ国民が生活する多民族国家です。
そのため、パプア州・西パプア州・アチェ州の分離独立運動に見られるように、国内に深刻な民族問題を抱えています。
7~9世紀に仏教、8~15世紀にヒンドゥー教の王国が興りましたが、13世紀以降はイスラーム王朝が成立し、全土にイスラームが普及していきました。1602年以降オランダが植民地支配し、1949年に独立を果たしました。
産業は米やパーム油・カカオなどの農業と天然ガス・スズなどの天然資源に頼りますが、近年では積極的に外資を導入し、製造業の割合がGDPの19.8%になりました(2020年)。
ムスリムが世界で最も多い国
インドネシアは、人口の87.2%、約2億人のムスリムを擁する世界最大のイスラームの国です。
ムスリムは、イスラーム法で「合法的である」と見なされるもの(ハラル)以外、食したり、使ったりすることができません。
例えば、食肉では豚は禁止され、牛、鶏、魚、子羊は許容されます。衣類、化粧品などの生産にもルールがあり、製造業者は原材料や生産工程にも注意を払う必要があります。
政府は、巨大な国内ハラル市場はもとより、世界のイスラーム市場を視野にハラル製品を供給する一大生産拠点を目指しています。
インドネシア共和国
面積:190.5万㎢ 首都:ジャカルタ
人口:2億7512.2万 通貨:ルピア
言語:インドネシア語(公用語)、ジャワ語、スンダ語
宗教:イスラーム87.2%、プロテスタント7%
隣接:東ティモール、マレーシア、パプアニューギニア
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIAのThe World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)