ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。大人の教養として世界の国々を知ろうと思った時におすすめ1冊が、新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。本書から特別に一部を抜粋して紹介する。
分割と消滅の歴史をもつポーランド
ポーランドはヨーロッパ中央部から東部に広がる国で、国土南端部のカルパティア山脈を除いて国土の大部分が平原です。バルト海に近い北西部は西風が吹くため比較的温暖で、東部や南部は寒冷な気候です。
位置などの地理的な要因から、さまざまな勢力の侵入による国の分割や消滅が繰り返されてきた歴史があります。
18世紀には列強によって三度にわたり分割され国が消滅しました。こうした歴史の中で、世界中に移り住んだポーランド人は多いのですが、彼らは強い祖国愛をもっているといわれます。
社会主義から非社会主義への移行
ナチスドイツの占領下にあった第二次世界大戦が終結した後、旧ソ連の影響下で社会主義体制の国になりましたが、自由を求める運動は活発で、1980年の労働者によるストライキを契機に、自主管理労組「連帯」が結成されました。
その後「連帯」は非合法化されますが、1989年に復活し、この地域で最初の非社会主義政権が生まれました。ヨーロッパへの復帰を目指して、1999年にNATO、2004年にEUに加盟しました。
広大な農地と豊富な鉱産資源
国土の約5割が農地で、ライ麦、エン麦、ジャガイモ、テンサイなどの生産は世界有数です。鉱産資源も豊富で石炭、銅、銀などを産出します。
ロシアやヨーロッパへのルートに地形的な障壁が少なく、工業に適した土地や条件のよい労働力が豊富に存在するため、日系企業を含め、外国企業の進出が盛んです。
ポーランド共和国
面積:31.3万㎦ 首都:ワルシャワ
人口:3818.6万 通貨:ズロチ
言語:ポーランド語(公用語)、ドイツ語
宗教:カトリック85%
隣接:ロシア、リトアニア、ベラルーシ、ウクライナ、ドイツ、チェコ、スロバキア
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIAのThe World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)