ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。大人の教養として世界の国々を知ろうと思った時におすすめ1冊が、新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。本書から特別に一部を抜粋して紹介する。
バルト三国のラトビアはどんな国?
ラトビアはヨーロッパの北東部に位置し、北はエストニア、南はリトアニアに接するバルト三国の真ん中にある国です。
ほぼ平坦な国土には森に囲まれた多くの湖と湿地帯があります。地形は西部が平坦で中央から東部が低い丘陵です。国土中央をダウガバ川が流れ、田園風景が広がっています。
ダウガバ川の河口、バルト海沿岸に発展してきた首都リガはバルト三国最大の都市で、旧市街には13世紀からの装飾豊かな建築物が立ち並んでいることから、「バルトのパリ」と呼ばれています。
農業は畜産が中心で、工業は化学、木材加工が盛んで、木材及び同加工品が主要輸出品となっています。
ロシアと西ヨーロッパ諸国を結ぶ貿易拠点
1940年にバルト三国はロシアに編入され、1991年に独立を回復しました。
ラトビアの東はロシアと接しています。ロシアから輸送される石油のパイプラインが国土を東西に横切り、最大の貨物取扱量を誇るベンツピルスは、パイプラインで送られてくる石油の輸出港にもなっています。
1992年にIMF(国際通貨基金)、世界銀行に加盟し、1999年にWTO、2004年にNATO、EUに加盟しました。
リガ、ベンツピルスの2港を自由貿易港に指定し、CIS諸国と西欧諸国との石油関連製品や石炭などの中継貿易の拠点となっています。また、ラトビア最大のリガ国際空港は、バルト三国の中で最も航空路線・利用客数が多く、この地域でのハブ空港として機能しています。
CIS(独立国家共同体)
旧ソ連の構成国で形成された国家連合。ソ連崩壊と同時に結成された。2022年2月時点での加盟国は、アゼルバイジャン、アルメニア、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ベラルーシ、モルドバ、ロシア。準加盟国はトルクメニスタン。加盟国の中心であるロシアはCISの結束を強化したい意向だが、各国の利害が一致せず、形骸化の傾向にある。
ラトビア共和国
面積:6.5万㎢ 首都:リガ
人口:186.3万 通貨:ユーロ
言語:ラトビア語(公用語)、ロシア語、リトアニア語
宗教:福音ルーテル派36.2%、カトリック19.5%、正教19.1%
隣接:エストニア、ロシア、ベラルーシ、リトアニア
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIAのThe World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)