ROAのベンチマーク10%に対し
ファーストリテイリングは19.1%を達成

 有利子負債を手元の現預金で全額返済したと仮定した2019年8月期のファーストリテイリングのROA19.1%は、以下のようにブレークダウンして観察できる。小売業としては高すぎる売上高税引前利益率11.0%と、製造業としては高すぎる総資産回転率1.74倍によって達成される、高水準なROAである。

ファーストリテイリングのROAが異常なまでに高いのはなぜか

 このように、ROAこそ、メーカー小売業の事業モデルを持つ企業が自社の優位性を表すために掲げるべき経営指標であると主張したい。同時に、メーカー小売業のライバルと対峙する企業であれば、ROAのどちらのブレークダウンの要素によって優位性を発揮し、ファーストリテイリングのようなメーカー小売業に負けないROAを実現するのか。その戦略と同時に、収益や資産効率の在り方の具体化が求められよう。

(本稿は、『企業価値向上のための経営指標大全』から一部を抜粋・編集したものです)