ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナにおける核兵器の使用を暗に警告しており、米政権はこれに懸念を示している。それなのに、ジョー・バイデン米大統領が核抑止力になり得る新たな兵器について予算配分を見送ったのは不可解だ。米国防総省の最新の予算要求からは、海上発射核巡航ミサイル「SLCM-N」が排除された。このミサイルは「戦略」核よりも威力が小さい「戦術」核とみなされるもので、戦場の標的に対しても使用し得る。このミサイルは、潜水艦や駆逐艦から発射できる。この兵器は、ある既知のリスクへの対処を目的としている。そのリスクは次のようなものだ。ロシアは「艦船、航空機、地上軍に配備可能な」最大2000発の戦術核兵器を保有している(米国防省の2018年の核政策指針「核態勢の見直し」(NPR)による)。ロシアの核戦力には「空中発射型対地ミサイル、短距離弾道ミサイル、重力爆弾、中距離爆撃機搭載用の水中爆雷、戦術爆撃機、海軍航空機のほか、対艦・対潜水艦・対空ミサイル、対艦・対潜水艦魚雷」などが含まれる。
【社説】ロシアに核の優位与えるバイデン氏
抑止力となり得る核巡航ミサイルの配備に消極的
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