中国では、おおむね68歳を超えると最高指導部には入れないという「年齢制限」、1期5年、長くても2期10年までという「三選禁止」の決まりがある。今回指導部入りした60代以上の人たちは1期5年で引退することになるから、そもそも次期トップへの野望を持たない。そう考えると、1期だけでも彼らを重用して不満をそらし、習体制に協力させるという狙いもあったのだろう。

 一方、今回指導部に入れなかった50代の若手に対しては、胡氏が説得して5年後の指導部入りを約束し、その代わりに今回は実質的な重要ポストを与えて新指導部に協力させるという方策をとったと思われる。

 今回指導部に入れなかった李源潮氏は3月に国家副主席に、汪洋氏も経済担当の副首相に任命される見通しだ。5年後に長老たちがいなくなるなか、今彼らにそうした肩書きを持たせておけば、次期政治局常務委員会に入る可能性が大きい。もっとも、「ポスト習近平」の次期トップとなる最有力候補はもっと若い2人、胡春華氏、孫政才氏(いずれも49歳)になる見込みだ。

 もちろん、新指導部の人選については、水面下で相当激しい権力闘争が行なわれたはずだ。しかし結果的に今回は、最も無難な人事のパターンに落ち着いたと言えよう。

新指導部の人員刷新は建国以来初めて
人事交代の制度化は着実に進んでいる

――逆に、新指導部からカリスマがいなくなることの不安要因は?

 長老たちは、目の前の課題に対して若手に真剣に取り組んでほしい一方、共産党そのものを壊されるのは困るという、矛盾した気持ちを持っている。不満や権利意識が高まる国民をうまく抑えて民主化を進めながら、一方で今の権力体制を保持するというバランス感覚が、習氏には求められる。

――これまでの指導部と新指導部の性格には、どんな変化があるだろうか。

 習氏や李氏は5年前から常務委員になっていたが、新指導部の他の5人は彼らより年上とはいえ、全て新人だ。建国以来、初めて指導部の人員がほぼ刷新された。年齢制限や三選禁止をはじめ、人事交代の制度化が進んだと評価できるのではないか。

 一方で、昨年前半には重慶市の薄熙来・市共産党委書記の失脚事件が起きるなど、直接選挙ではないがゆえの不透明な裏の駆け引きもあったと見られる。ただ、習氏が次のトップになることはここ数年来の既定路線であり、実際にそうなった。大枠では制度化が進んだと評価できる。