バチェラーが語る「嫌われない人付き合い」のコツ

相手に合わせて選択の幅を広げる

平尾：黄さんはルックスも洗練されていて、人間的にもかっこいい。中身も生き方も男前なのはズルいですね。

黄：丈さんにそう言ってもらえると嬉しいです！ もちろん、その言葉を女性に言っていただくのも嬉しいですよ。ただ、どうしても見た目や喋り方や雰囲気をご評価いただくことが多い。でも、今回のバチェラーの旅でも、ビジネスパーソンとして見てくださる方が多かったのは嬉しかったですね。

とくに、ベンチャー企業の方や起業されている方に言っていただけたことは自信になりました。自分のやっていることは間違っていない。このまま真摯にやっていけば、みなさんと同じ視野をいつか身につけられる。私はまだ何も手にしていないので、このまま研鑽を積んでいこうと思いました。

――起業家の方からは、どのようなコメントをいただいたのですか。

黄：考え方に芯があるという点と、言語化能力ですね。私は、思考が思考のまま止まっている人は価値がないと思っています。思考を行動に移し、行動によって現実にしてこそ、思考に価値があると考えています。

この『起業家の思考法』でも、丈さんは「やりきるところまでがワンセットだ」と書かれています。「やりきる」の中には失敗も含まれていて、それを糧にして成長してこそ、思考が実現できる。純粋に口が上手いだけの人は、世の中にいくらでもいます。でも、自分が普段考えていることを言葉にし、行動に表すことをパッケージで見たときに、初志貫徹していると思っていただけたことは、起業家ならではの視点で褒めていただいたと感じています。

平尾：黄さんは隙がないですね。もともと中国から日本にいらして、中学生ぐらいまでは日本語が喋れなかったんですよね。

黄：はい。

平尾：それなのに、黄さんの日本語の言語化能力はすごくないですか？

黄：それは恋愛のおかげです。日本人の彼女がいたので、相手の心を読み解こうとしていたら自然とわかるようになっていました。私が長けているのは、人の感情を読み解く力かもしれません。そこは人より繊細です。言葉と表情と声のトーンと抑揚で、本心がどこにあるかを大きく外すことはない。

平尾：なるほど。たしかに黄さんは、抑揚、話し方のリズム、時間軸、声のトーンをすべて使い分けているように感じますね。

黄：意識はしているかもしれません。一緒に話している人のテンポ、話を聞いている人のテンポは、頭の中で理解して話すことが多いですね。

平尾：合わせる？

黄：そうですね。相手が早口であれば早口になる。早口の人は、こちらがゆっくり話すと集中力が切れてしまうので、頑張って合わせるようにします。

平尾：なぜ相手を意識するようになったのですか？

黄：私は根本的に人に対して臆病なんですね。嫌われたくない。その人に好かれるために、自分はどう振舞ったらいいのかは常に考えています。

でも、嘘で自分を塗り固めるのではなく、自分ができる選択肢をいくつも持っておいて「この人にはこの武器、あの人にはあの技」というように、ただ選択を繰り返しているだけなんです。バチェロレッテの視聴者から「黄さんは本音を出していない。萌子さん（バチェロレッテ）と喋っているときと、男性と喋っているときで違う」と言われたんですが、私はただ対応の幅が広いだけで、嘘はひとつもついていないんです。