「独りよがり」が「優れたやり方」とマッチして別解になる

平尾:黄さんはバチェロレッテに出るかどうかで悩んだそうですが、そこからもう一度バチェラー4に出るのも、まさに「別解」ですよね。

:この図を見ると、私は「別のやり方」を重要視しています。もともと、世の中には真似すべき素晴らしい事業モデルやロールモデルが存在します。でも、それだけでは勝てない。「優れたやり方」を後から来た人が真似するだけでは、何も得られません。私は「優れたやり方」に誰もやったことがない自分ならではの要素を組み合わせないと気が済まない。バチェラー4を選んだときも、バチェロレッテからバチェラーに行った人がいなかったのがいちばんの理由です。

平尾:びっくりしましたよ。

:バチェロレッテ・シーズン1に最初に出た理由も、それまで日本にバチェロレッテがなかったからなんです。

平尾:確かに、あれが初めてですよね。

:仮に私がバチェロレッテにもバチェラー4にも出ていなかったとして、今「バチェロレッテ2に参加しませんか?」と言われても、出ないですね。誰かが一度通った道だから。よしんば出たとしても、「自分らしいやり方」を加えて前回にはいなかったキャラクターで、波乱を巻き起こすキャラになるなど、工夫するでしょうね。

平尾:黄さんは「自分らしいやり方」を起点にしているんですか。私は「別のやり方」が起点です。誰かと一緒は嫌だから。

:私が目指しているゾーンは「自分らしいやり方」と「別のやり方」が重なる「独りよがり」なんですね。この「独りよがり」が「優れたやり方」とマッチしたとき、まさに別解になる。

平尾:たしかに。

:ともすると白眼視されがちな「独りよがり」ですら、私はいいことだと思っていますね。そもそも、クリエイターやアーティスト、エンジニアという存在が好きなんです。オタクも大好きですね。彼らは、超独りよがりじゃないですか。でも、だからこそ世界を変えられるんですよ。オタクに「優れたやり方」を提示する事業家がついて、ようやく成功する事業が存在する場合があります。ただのエンジニアだけでは事業を起こせなかったけれど、そこに知識や頭悩が入ったときに別解が生まれる。だから、私は基本的に独りよがりができる人がすごく好きですね。

平尾:いいお話ですね。

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