米国民は、北大西洋条約機構(NATO)加盟国への攻撃は、NATO全体への攻撃であることを理解している。ロシアがワルシャワを爆撃した場合には、米政府はポーランド支援に駆けつけなければならない。しかし、ハワイの真珠湾が再び攻撃された場合、NATOに加盟する米国の同盟諸国に、米国を助ける義務が生じることはない。NATO条約第5条(集団防衛)の適用範囲は、欧州と北米の一部であり、北回帰線より北側に限定されている。プエルトリコ、仏領ポリネシアなど、加盟諸国の多くの領土が第5条のカバー範囲外となる。1949年のNATO創設時には、こうした適用除外で影響を受けるのは遠隔地の植民地だけだと思われていた。ロシアのウクライナ侵攻と、中国の威嚇行為が続く中、NATOが自らに課したこの地理的制約は、インド太平洋地域を同盟の空白地帯にしてしまい、大西洋での同盟の力を弱めている。
【寄稿】NATO集団防衛をハワイまで拡大すべき
フォークランド紛争を教訓に
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