円の対ドル相場は20年ぶりの安値に下落している。その影響は東京にとどまらず、23兆ドル(約2960兆円)規模の米国債市場にとっても不吉な知らせとなるかもしれない。円の値動きを世界中のトレーダーが注視するのは、日本市場を追う目的だけでなく、グローバル市場の投資家心理について判断するためだ。通常、相場の上昇局面では、円が他の通貨に対して安くなる傾向があり、相場が荒れ始めると、円が買われやすい傾向にある。だが今春、この関係に異変が生じた。ロシアとウクライナの戦争が始まり、世界の株価が下落する中でも、円は対ドルで年初から12%下落。急激な円安が進んだため、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が追跡している41通貨のうち、今年の下落率ランキングで円は首位となり、ロシアルーブルやトルコリラよりも大きく下げている。