米国の著名資産運用担当者が長らく見向きもしてこなかった資産である「現金(キャッシュ)」がここにきて熱い視線を集めている。ウクライナでの戦争、中国での新型コロナウイルス感染拡大、欧米の景気後退リスク、世界的なインフレ高進といった懸念材料が相次いでいるためだ。金融市場では株・債券のダブル安が進行。資産運用担当者の間では、マネーを低リスクの現金同等物に移す動きが広がっている。現金を保有していれば利益を逃しかねないとして、下げればすかさず押し目買いが入ってきた株式市場は大きな転機を迎えている。資産運用世界最大手ブラックロックのマネジングディレクター、リック・リーダー氏は、同社では大半のポートフォリオでキャッシュを50%余り増やし、ここ数年と比べて「はるかに高い」水準まで保有比率を引き上げたと話している。各国中銀が利上げでインフレ退治を余儀なくされる中、株価は向こう2~6カ月は不安定な展開が続くとみているという。
「現金こそ王様」再び、不安広がる市場で魅力増大
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