銀行の自己資本比率規制「バーゼル3」、有価証券の信用リスク見直しを解説Photo:PIXTA

RWが引き上げられた
株式、劣後債、TLAC債

 連載の第4回は、2021年9月公表の規制案をもとに、信用リスクの標準的手法における有価証券関連の見直しについて解説する。

 バーゼル3では、株式、劣後債、TLAC債のリスクウェイト(RW)がいずれも引き上げられている。まず、株式のRWは、現行制度では100%である。見直し後は、原則として250%、投機的な非上場株式に該当する場合は400%に引き上げられる。ただし、RWの引き上げは5年間かけて段階的に行われる(図表参照)。投機的な非上場株式は、短期売買目的の投資やベンチャーキャピタル等への投資が該当すると考えられ、企業再生を目的とするものや政策保有株式は該当しない。

 次に、劣後債のうち事業法人が発行するものは、現行制度では格付けに応じて20~150%のRW(無格付けの場合は100%)が適用されるが、見直し後は一律150%のRWとなる。一方、金融機関が発行する劣後債は、通常、金融機関の資本調達手段に該当すると考えられる。その場合、現行制度では、保有するのが国際統一基準行であればRWは100%だが、保有するのが国内基準行であればRWは250%である。見直し後は、国際統一基準行が保有する場合のRWが150%に引き上げられる一方、国内基準行が保有する場合は原則として250%のままである。