金本悠希
連載の最終回は、自己資本比率規制以外に、国際統一基準行にのみ課される規制と、G-SIB等にのみ課されるTLAC規制について解説する。また、本連載の第3回から第5回では、2021年9月公表の規則案に基づいて信用リスクの見直しについて解説したが、22年4月に規則の確定版が公表されたため、案からの主な変更点について解説する。

連載の第7回は、2022年4月に公表された規則(確定版)に基づき、オペレーショナルリスクの見直しについて解説する。オペレーショナルリスクは、役職員の事務的なミスやシステム障害などによる損失リスクを指し、オペレーショナルリスク相当額を12.5倍した額が自己資本比率の分母に算入される。現行制度では、オペレーショナルリスク相当額の算出手法として、粗利益の15%とする「基礎的手法」、八つの業務区分ごとの粗利益に所定の掛け目をかけて算出する「粗利益配分手法」、内部モデルによって算出する「先進的計測手法」の三つの手法が認められている。

連載の第6回は、2022年4月に公表された規則(確定版)に基づき、マーケットリスクの見直しについて解説する。「不算入特例」やリスク相当額の算出方法の見直しのほか、バンキング勘定の商品しか保有していない場合は負担が軽減されることなどを説明する。

連載の第5回は、2021年9月に公表された規則案に基づき、内部格付け手法の見直しのほか、派生商品取引の与信相当額、CVA(信用評価調整)リスクの見直しについて解説する。

連載の第4回は、2021年9月公表の規制案をもとに、信用リスクの標準的手法における有価証券関連の見直しについて解説する。バーゼル3では、株式、劣後債、TLAC債のリスクウェイト(RW)がいずれも引き上げられている。まず、株式のRWは、現行制度では100%である。

連載の第3回は、2021年9月に金融庁から公表された規則案(図表)に基づいて、信用リスクの標準的手法における貸出関連の見直しについて解説する。貸出のリスクウェイト(RW)は、一部が引き下げられたり、決定方法が精緻化されたりしたほか、国内基準行向けの負担軽減措置が設けられている。

連載2回目となる今回は、バーゼル規制の中心を占める自己資本比率規制の全体像について解説する。バーゼル規制とは、銀行の健全性を確保するための規制である。バーゼル規制で最も重要なのが自己資本比率規制だ。

2度の延期を経て、2024年3月期から適用される運びとなったバーゼル3の最終化(内部モデルを用いない国内基準行は25年3月期から)。本連載では、銀行関係者が理解しておくべきバーゼル3について、全8回で解説する。第1回は、バーゼル3の最終化に至るまで段階的に発展してきたバーゼル規制について説明し、2回目以降はバーゼル3の各規制内容について解説していく。
