本書の要点

(1)若いうちに自分がハマれる「沼」を見つけて結果を出し、成功体験を積むことで心は強くなる。
(2)決めた目標に向かい、ひたすらに「自分」と戦うこと。そうすれば、ハードワークやつらい精神的負荷も心を鍛える糧となる。
(3)不安や迷いが頭から離れないときは自分の思いを公言しよう。自分の「外」に発信することで、自分の心という「内」面をブレさせずにすむ。
(4)欲しいものをはっきりさせ、他の重要でないものを捨てよう。そうすることで、残された本当に大切なものを力いっぱい抱き締めることができる。

要約本文

◆10代 環境を変えたい人へ
◇夢中になったパソコンとの出会い(堀江貴文)

 幼少期に周囲から大きな楽しみや喜びを与えてもらった記憶がなく、文化や遊びの欠落した環境で育ったという堀江氏は、外界の情報を貪欲すぎるほど追い求めた。人気になり始めていたコンピュータを中学校の入学祝いとして購入してもらえた堀江氏は、「プログラミング」にハマった。

 1年経つころにはメキメキとスキルを向上させ、徐々に複雑なプログラムも構築できるようになっていった。中2のとき、仕事のオファーが舞い込む。小学生時代に通っていた塾から「パソコンの買い替えに伴う教材の移植」を頼まれたのだ。試行錯誤を重ね、期日内にシステムの移植に成功し、報酬を得た。中2にして初めての成功体験だった。自分に声をかけてくれる人がいて、作ったシステムに多くの人が喜び、役に立てたこと。これらは本当に大きな収穫だったと振り返る。「好きなことで報酬を得る」という“初体験”を人生の早い段階で済ませるには、自分の感性というセンサーを研ぎ澄ませ、自分がハマれる「沼」的な対象を見つけることがおすすめだ。

◇自尊心を保ってくれるアイデンティティを見極めろ(堀江貴文)

 パソコンに没頭するあまり、堀江氏の学校の成績は急落してしまう。その後、パソコンのブームは去り、パソコンで自尊心を保っていた堀江氏は将来の展望すら見失った。それでも、「ここではない場所へ行くこと」を望んでいた堀江氏は、親が納得できる形で家を出られるよう、東大に向けて受験勉強を始める。

 結果的に東京大学教養学部文科三類への現役合格を果たすのだが、合格のために自分の状況や配点を踏まえて戦略的に対策を練った経験は、大人になってからも役立っている。受験で得た知識は実社会ではほぼ役に立たないと考える堀江氏は、受験から「結果」を出すことの重要性を学んだ。大人を説得し、道を切り拓くには「結果」を出すことが必要なのだ。