おひとり様の遺産寄付、善意のはずが迷惑になることも…生前準備の要点は?写真はイメージです Photo:PIXTA

近年、ふるさと納税や新型コロナ感染拡大、そしてウクライナ侵攻などの影響で、「寄付」をする人が増加中です。注目なのは、自分の遺産を寄付する「遺贈寄付」も増えていることです。しかし、受け取った側が迷惑を被ったり、相続人とトラブルになったりする例も増えています。とはいえ、何もしなければ、自分が他界した後、遺産は国のものになります。今のうちから注意点などを理解して、遺贈寄付の準備をしておきましょう。(生活経済ジャーナリスト 柏木理佳)

「寄付金」ブーム、遺贈寄付でおひとり様は得をする?

 ウクライナ侵攻で大使館やUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)や日本ユニセフ協会、セーブ・ザ・チルドレンなどに寄付をする人が急増していますが、実は、その前から寄付金ブームが到来しています。

 ふるさと納税の寄付額(2020年度)は過去最大です。さらに、「寄付白書2021」によると2020年の個人寄付の総額は、名目GDPの0.23%に相当する、1兆2126億円で、東日本大震災以来の1兆円を超えました。

 最近、注目されているのは、遺贈寄付です。遺贈寄付とは「個人が遺言によって、遺産の全部または一部を法定相続人以外の公共法人や組織に無償で贈与(寄付)すること」を言います。高齢者の増加と遺族がいないおひとり様が増加していることで、「死ぬ前に、自分の資産を寄付する準備」をする人が増えているのです。

 実は、相続人がおらず遺言もない場合、おひとり様の貯金や不動産、株式などの資産は、その人が亡くなった後、債権者などに分配された後、残りは国庫のものになるのですが、その金額は600億円規模(2019年)に増えています。

 それが、遺贈寄付をすれば、自分の財産を、自分が指定した公共性の高い施設などに寄付できるだけでなく、自分の名前で基金を創設し、きちんと管理され続けて有効に使われることもあります。

 特におひとり様は、今からでも「遺贈寄付」の準備をしておくべきでしょう。寄付は税金の控除などでもメリットがあるからです。