第2次世界大戦で連合国が勝利したことを受けて、1940年代半ばにナチス・ドイツ軍の将校を裁くニュルンベルク裁判、続いて日本の政府・軍幹部らに対する東京裁判が開かれた。ここで問われた罪に前例はなく、それ以降も国際法廷の場で裁かれたことはない。具体的には、侵略戦争を仕掛けた罪であり、当時は「平和に対する罪」と呼ばれた。法律の専門家や有力者の間からは、ロシアの指導者もウクライナ侵攻を理由に、同じように裁かれるべきだとの指摘が出ている。想定されているのは、ウラジーミル・プーチン大統領らロシア政府幹部を被告とする特別法廷の設置だ。これにより「侵略の罪が許容されることはなく、この悲惨な状況を終わらせるに当たり、徹底追及するとのわれわれの決意を示す」。複数の国際弁護士やニュルンベルク裁判の検察官、およびゴードン・ブラウン元英首相らは3月の共同声明文でこう述べた。