ロシアが多額の経済救済策を取りまとめている。欧米による制裁の打撃を和らげ、ウラジーミル・プーチン大統領のウクライナ戦争が財政に及ぼす影響から国民を守る試みだ。ロシア政府の対策は、苦境にある市民や企業への支援が中心だが、エコノミストらは数十年ぶりの大幅な景気減速を防げる公算は小さいと指摘する。それでも、戦時経済の混乱を乗り切る上で、ロシア政府には豊富な資金があることが、そうした対策から明らかになっている。2月24日のウクライナ侵攻以来、プーチン氏は相次いで危機対策法案に署名し、インフレ上昇分を埋め合わせるべく、年金受給者や公務員、困窮世帯への給付金を急きょ引き上げている。制裁で打撃を受けた企業への政府融資も承認した。そうした融資は、コンピューター用半導体など輸入部品の欠如によって生産が急停止した工場にとって命綱となる。