中国の歴代指導者が万里の長城を築いて外国の脅威から国を守ったように、習近平国家主席も自給自足にまい進することで城壁を固めようとしている。ロシアのウクライナ侵攻によって、この任務はさらに重要性を増した。中国は巨額の資金をつぎ込み、半導体の国内生産や穀物・原油の備蓄を進め、国際金融決済網の整備を急いでいる。背後でこれを突き動かしているのが、米国や欧州連合(EU)がロシアに科したような厳しい制裁措置を通じて、中国が西側諸国の経済から締め出されかねないという警戒感だ。中国自身もこれまで、米国の制裁による痛みに耐えてきた。だが、台湾問題を巡って米国と軍事的に対峙(たいじ)する事態となれば、はるかに厳しい制裁に直面しかねない。あるいは、ウクライナにおける戦争で中国がロシアに強力な支援を提供すれば、これも米国との軍事的な対立を招く火種になり得る。