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先祖や自分のルーツが分かる?
アメリカで人気の「アンセストリー・ドットコム」

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第227回】 2013年1月10日
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 だが、いったん自分のルーツ探しに目覚めると、懸命に先祖をたぐっていく人々も多い。これまでは、その作業はマニュアルで、気が遠くなるほど時間のかかるものだった。ところが、アンセストリー・ドットコムや、これに類したサービスのおかげでそれがぐっと簡単になったのだ。先祖探しのサービスの中で、アンセストリー・ドットコムは最も人気があり、現在4100万のファミリーツリーがここで構築されているという。登録ユーザー数は200万人だ。

 DNA鑑定もアンセストリー・ドットコムが最近力を入れている分野である。ここでDNA鑑定を受けると、自分の血の成り立ちがわかる。何パーセントがイギリス系で、何パーセントがドイツ系で、それに中東系やアフリカ系の遺伝子も混じっていたといったようなことも明らかになる。その上で、同じ家系に属すると思われる人を捜し出して、マッチングもしてくれるのだ。

「先祖探し」に目を付けたのは
賢明である一方、今後は課題も

 アンセストリー・ドットコムは有料サービスで、アメリカ国内限定の資料の検索か、あるいは世界中の資料にあたれるかの違いで会員費が異なる。前者ならば毎月22.95ドル、後者は34.95ドル。6ヵ月間会員となれば、いずれも料金が毎月12.95ドルと24.95ドルと安めになる。ファミリーツリーの作成や共同作業などはすべてウェブ上で利用する、いわゆるクラウド型のサービスだ。

 同社は1983年に創設された出版社を元にして、先祖のルーツ探しのビジネスに発展した。その過程で、さまざまな資料アーカイブ会社を買収してマッチング能力を増強してきた。AOLなどから資金を受けてビジネスを発展させIPOも果たしたが、昨年末イギリスのプライベート・エクイティーにバイアウトされることが明らかになった。サービスを国際的に拡大させることが主眼になったためと見られている。

 先祖探し、ルーツ探しは、ある種アメリカ人の最もプライベートな関心ごとで、存在の根幹に関わる問題である。そこに目をつけたアンセストリー・ドットコムのビジネスは賢明でもある一方で、プライバシーやDNA鑑定結果など、今後社会的にその取り扱いが議論の対象となる可能性も高い。

世論調査

質問1 自分の先祖、ルーツ探しに関心がある?





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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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