静かな境内で静かに自分と向き合いたい
唐招提寺(奈良県奈良市)

「古都奈良の文化財」のひとつとして世界遺産に登録されている「古都奈良の文化財」のひとつとして世界遺産に登録されている

 唐招提寺は、苦難の末に来日を果たした唐の高僧、鑑真和上(がんじんわじょう)が、759年に戒律を学ぶ人々の修行の道場として創建したお寺です。豊かな自然に包まれた静かな境内には、平城京の面影を今に伝える伽藍や仏像など数多くの国宝や重要文化財がどっしりと鎮座し、目を閉じると時間や空間の概念を失うような不思議な感覚を覚えます。

「方円彩糸花網」(左)と「紙裁文紋様」(右)の御朱印帳「方円彩糸花網」(左)と「紙裁文紋様」(右)の御朱印帳

 こちらの御朱印帳もとってもおしゃれ。宝蔵に眠っていた8世紀に中国でつくられたといわれる最古のレース(刺繍)を模した「方円彩糸花網(ほうえんさいしかもう)」と、同じく宝蔵から見つかった古い布を模した「紙裁文紋様(かみさいもんもんよう)」。いずれもオリエンタルな雰囲気と繊細なデザインがお寺の空気とマッチしていてすてきです。

「うちわまき」の宝扇や絵馬は授与品としても手に入る「うちわまき」の宝扇や絵馬は授与品としても手に入る

 唐招提寺ならではのイベント「うちわまき」は、鎌倉時代の高僧、覚盛(かくじょう)上人の遺徳をしのぶ法要で、毎年5月19日に行われる春の一大行事。「自分の血を与えるのも菩薩行である」と、蚊をうちわで追い払うよう戒めたという覚盛上人の故事から、その徳をたたえ、うちわを供えたことが始まりです。法要後に鼓楼からハート型の宝扇が参拝者にまかれ、これを授かると病魔退散や魔除けの御利益があるといわれています。(2022年は関係者のみで執行予定)

■唐招提寺
・住所:奈良県奈良市五条町13-46
・参拝時間・御朱印授与時間:8:30~17:00(最終受付30分前)
・アクセス:近鉄橿原線「西ノ京駅」から徒歩10分
・URL:https://toshodaiji.jp