――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
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「スターバックス新店舗がスターバックス既存店のトイレにオープン」。このコーヒーチェーンがすでにどこにでもあるように見えた1998年当時、これは風刺の効いた見出しであった。1カ月前、ハワード・シュルツ氏が最高経営責任者(CEO)として3度目のかじとり役に就いた時点で、北米での店舗数はその10倍近くになっている。
シュルツ氏が、この店舗数とともに、ぱっとしない内容の第2四半期(1-3月期)決算を発表すると、スターバックスの株価は昨年夏につけた過去最高値から40%超下落した。コストと賃金の圧力のほか、米国内では労働組合結成をめぐる労使問題がエスカレートしていることや、同社にとって2番目に大きな市場である中国で最近売り上げが落ちていることなどがすべて市場心理の重しとなった。だが、決算発表後初の取引日である4日には、株価は10%近く上昇。2020年3月の新型コロナによる市場パニック後の急反発以来の上げ幅となった。同社が今年の業績見通しを明らかにしていないにもかかわらずだ。