「そこに2時間いたら、おまえは死ぬ」指示待ち人間を作らない米軍の人材育成術写真はイメージです Photo:PIXTA

刻一刻と戦況が変化する戦場では、指示待ち人間は足手まといになるだけ。実際、米陸軍参謀総長は、自ら判断して動く部下の育成を重視していたという。米陸軍工兵学校に日本人女性として初めて派遣された筆者が体験した、自主性を伸ばす育成術とは?※本稿は、元・陸上自衛隊幹部の有薗光代『セルフスターター 自分で自分を動かすスキル 米陸軍工兵学校で学んだ仕事と人生で大切なこと』(日本実業出版社)の一部を抜粋・編集したものです。

命令は従うよりも
破るほうが難しい

「そこに2時間いたら、おまえは死ぬ」

 米陸軍参謀総長マーク・ミリーは、未来の戦場をこう語りました。

 敵のドローンとセンサーが常に標的を探し、前線も後方も区別がない。補給は絶たれ、部隊は分断され、通信は遮断される。温かい食事も、空調も、シャワーもない。

 そんな極限状態で、上司の指示を待つ余裕など、あるはずがありません。だからこそ、ミリー参謀総長は断言しました。

「命令に従うより、命令を破る訓練が必要だ」

 ここで問われているのは反抗心ではなく、「意図を理解し、自ら判断して行動を選ぶ力」。セルフスターター(編集部注/指示を待たずに、自分で考えて自律的に行動できる人)であることは、生き残るための条件であり、任務遂行の前提なのです。

「軍隊」と聞けば、多くの人が「命令絶対」「上意下達」を思い浮かべるでしょう。しかし近年、その構造が大きく変化しています。

 なぜなら、環境が常に変化し続ける戦場では、作戦の意図を理解して、戦況に合わせて対応しなければ、判断が遅れ、命を落とすからです。