本書の要点

(1)「疲労」は、溜まったまま放置すれば人生のリスクにもなり得る。「疲れてもすぐ回復する体」をめざし、まずは自分の体質を知り、自分の体に合った方法で疲れをとろう。
(2)胃腸に負担をかけないように食べることは、疲れにくい体をつくるためにとても大切だ。また、疲れているときに刺激するとよい味覚は、体質によって酸味がよい、甘味がよいなど異なる。
(3)自分自身が「フィールグッドな状態」であるかどうかという感覚を大切にし、心身のサインに気づけるようにしよう。体質に合わせて体の疲れをとるようにすれば、自然と心の疲れもとれていく。

要約本文

◆本当に効く疲労ケア
◇「何となく不調」なときこそ東洋医学の出番

 仕事や人付き合いに時間を割くことの多い現代人が抱える疲れは深刻で、自然に回復できる範疇を超えている人も多く存在する。そして、疲れは、放置すれば仕事のパフォーマンスや質を低下させるのみならず、寿命を縮めることにもなりかねない。疲れの放置は、「人生のリスク」なのである。

 日本では「何となく体調が優れない」という理由で病院を受診する人が多いが、具体的な症状もなく病院に行くという感覚は「東洋医学」の影響を少なからず受けた名残であると言われている。じつはこの「何となく不調」な状態こそ、東洋医学の見地からすると、疲れをとるチャンスなのだ。「病気になってから対処する」西洋医学に対し、東洋医学は、「病気になる前に対処する」のである。

◇東洋医学で「疲れてもすぐ回復する」体をめざそう

 疲れが積み重なっていくほどに体を動かすのが困難になるのは、新陳代謝が下がることが原因である。つまり、エネルギーの伝達や血液やリンパ液の流れが悪くなり、不要物が体から排泄されにくくなっている状態だ。東洋医学ではこのように疲れが溜まるイメージを「流れが滞る」という言葉で表現する。