「疲れやすい」とは「流れが悪い」ということであり、例えば一日中パソコンに向かって同じ体勢をとっていると筋肉的にも気分的にも停滞し流れが悪くなるが、30分に一度、ほんの10秒だけでも立ち上がったり姿勢を変えたりすることで、滞った「氣(新陳代謝)」が流れ出し、能率はよくなる。

 ただし、活動すれば疲れるのは自然なことであるので、「疲れない」のでなく、「疲れていてもすぐ回復する」体をめざすべきだ。東洋医学では心身に起こる様々な変化を受け入れることで、よい状態が保てると考える。「しなやかに揺れながら元に戻る」ことを基本に、溜まった疲れを流す体質別のコツを掴んでいこう。

【必読ポイント!】
◆体質別・疲労解消法
◇4つの体質で知るあなたの「体の個性」

 疲れについて、本書の一番のポイントは、「誰にでも効く疲労回復法はない」ということである。「疲れ方や疲れの感じ方は人それぞれ」であり、メディアでステレオタイプ的に報道されている「疲れのとり方」は、体質によって合わなかったり、そもそも根本的な疲れの回復に至らないものであったりする。

 体質は、傾向で大きく分けるとほとんどの人が4つのタイプのどれかに当てはまる。東洋医学では体の働きを5つに分類したものを五臓(肝・心・脾・肺・腎)と呼び、自然界の「木・火・土・金・水」という性質にあてはめている。本書では五臓から「心」を抜いた4つと対応する「木・土・金属・水」を扱い、タイプ分けをしている。これらは生活環境によって変化したり、人によっては2つ以上のタイプが混ざったりすることもある。さらにどのタイプも加齢によって徐々に「水」タイプの傾向が強くなっていく。

 簡単に紹介すると、「木」タイプはリーダー気質のハードワーク型、「土」タイプはおっとりしたマイペース型、「金属」タイプは空気をよく読むロマンチスト型、「水」タイプは愛され上手の要領よし型だ。「木」タイプは過労になりやすかったり、「土」タイプは疲れやストレスが口の周りや胃腸の働きにあらわれたり、と、疲れ方もタイプによって変わってくる。

◇「いい感じ」という直感を大切にする

 本書で紹介する「体質」は体の働き方の偏りのことを指す。根深い疲労であっても、体のクセが出ているだけなので、病院で検査を受けても異常が見つからないということがある。それだけに、健康と病気の境目にはいつも「自覚」というセンサーを働かさなければならない。その際、私たちが直感として感じる「いい感じ」と「イヤな感じ」といった感覚、つまり自分自身が「フィールグッドな状態」であるかどうかが重要な指標となる。心地よい状態にあると、体はおのずと元気を取り戻す。