グノーシス主義とは?
なお、「ナグ・ハマディ文書」は岩波書店から邦訳(『ナグ・ハマディ文書全4巻』荒井献・小林稔ほか訳と『ナグ・ハマディ文書・チャコス文書 グノーシスの変容』荒井献・大貫隆編訳)が出ています。
ところで、新約聖書を正典化する過程(AD2~3世紀)で、俗にグノーシス主義(ギリシャ語で認識の意味)と呼ばれる異端思想が生じました。
グノーシス主義は、ドケティズム(イエスの神性のみを認め、誕生や十字架上での死などの人間的生は仮象であるとして受肉を否定する思想)に立脚し、人間は禁欲によって肉体・物質世界から浄化され、魂によって真の認識を得ることで救われるとする二元論です。
わかりやすくいえば、肉体・物質が悪で、魂・精神が善という立場です。グノーシス主義は、前述したマニ教に大きな影響を与えました。
『哲学と宗教全史』では、哲学者、宗教家が熱く生きた3000年を、出没年付きカラー人物相関図・系図で紹介しました。
僕は系図が大好きなので、「対立」「友人」などの人間関係マップも盛り込んでみたのでぜひご覧いただけたらと思います。
(本原稿は、13万部突破のロングセラー、出口治明著『哲学と宗教全史』からの抜粋です)