米経済にはインフレの高進や株価の下落、消費者心理の揺らぎといった不調の兆しが見られるものの、ある重要な指標は米国の強さを示している。ドルだ。ダウ工業株30種平均が急落する中、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が算出するドル指数は年初来で8%高となっている。人民元に対しては7%高で、その大半は過去1カ月という短い期間で達成した。対円では12%高、対スイスフランでは10%高となっている。為替相場のこうした動きは経済的に重要な意味を持つ。自国通貨が上昇すると輸入品を安く買えるようになり、インフレの抑制につながるはずだ。その結果、米連邦準備制度理事会(FRB)の任務は少し楽になり、需要を抑えて消費者物価の上昇を止めるために利上げを積極的に行う必要性を感じなくなる可能性もある。