2008~09年の金融危機後の数年間、金利が極めて低い状態が続き、多くの投資家は、妥当なリターンを得るためには、ポートフォリオのかなりの部分を株式市場に投入する必要があると主張した。こうした信念は広く浸透し、ウォール街では「TINA」と呼ばれるようになった。「There is no alternative (to stocks)」(株に代わる選択肢はない)の略だ。確かに株式市場は、毎年利息の支払いが保証された国債などよりもリスクが高い。しかし、株式のリターンは事実上、市場の他の全てをはるかに上回っていたため、投資家は資金を投じる現実的な代替資産をほとんど見いだせなかった。