――1928年の創業以来、岐阜県東部の東濃地域に根差して、さまざまな事業を展開しているそうですね。
石黒 もともとは、東濃地域の地域産業である窯業向けの機械部品・工具や石油製品の販売から始まった会社です。その流れで、窯業用燃料も供給するようになると、戦後、エネルギー関連の事業を拡大していきました。
52年に、自動車の普及を見据えて、土岐市で初めてのガソリンスタンドを開設。現在は3店舗を運営しています。79年には家庭用LPガスの販売にも参入しました。法人向けの燃料販売も含め、売り上げの8割がエネルギー事業です。
――残りの2割はどのような事業を?
石黒 2006年から始めたのは、住宅リフォーム事業と太陽光事業です。個人のお客さまの元にLPガスや石油製品の配達に伺う中で、ガスや水回りの補修・改修のご相談をよく受けていたことから始めました。
さらに08年に、「地域の憩いの場をつくろう」とコメダ珈琲店のフランチャイズに加盟し、土岐市内に2店舗を展開。11年には地域の方々の健康に貢献するために、女性向け健康体操教室・カーブスの運営を始めました。事業はバラバラですが、根底には「地域の方々に価値を届け、豊かにしていく」というビジョンがあり、これは創業当時から変わっていません。さらに、地域の方だけでなく従業員も豊かにする。常にその二つを達成することを目指して事業を展開しています。
――最近の新たな取り組みは?
石黒 東濃信用金庫さんとのコラボで銀行併設型のカフェを21年4月に開店しました。JR土岐市駅近くの、コメダ珈琲店東濃信用金庫土岐中央店です。
――どういういきさつで、コラボを?
石黒 始まりは、東濃信金さんから、「土岐中央支店の建物を建て替えるので、何か土岐市を活性化することができないか」と相談を受けたことです。もともと東濃信金さんとは、前身である土岐津信用金庫さんの時代から取引がありましたし、私たちも「地域のために」が会社のビジョンですから、快諾しました。ゼロから何をするか議論した結果、駅周辺で気軽にコーヒーを楽しめる飲食店をつくることに決まりました。