「部下のやりがいを奪う上司」に欠けている3つの視点とは写真はイメージです Photo:PIXTA

やりがいや達成感を得られずに、転職してしまう人が多いという。社員の離職に悩むリーダーにとって、やりがいをどう提供するかは重要な問題といえるが、適切に対処できている企業は多くない。やりがいや達成感を高めるにはどうすればいいのか。シンプルな方法を紹介する。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)

35%がやりがい・達成感を持てずに
転職してしまう現実

 離職率の高まりに頭を悩ませているリーダーは少なくない。

 マイナビの調査によれば、2021年における正社員の転職率は7.0%で、過去6年間で最も高い。特に若手で高く、20代男性14.2%、同女性は12.5%と、10人に1人以上が転職していることになる。
※出典 マイナビ「転職動向調査2022年版」

 また別の調査では、「コロナ禍が転職活動を始めるきっかけになった」人は36%に上る。そして、「転職を考え始めた具体的なきっかけ(転職理由)」で最も多かったのが、「やりがい・達成感を感じないから」(35%)だという。
※出典 エン・ジャパン「コロナ禍での転職のきっかけ調査」

 やりがい・達成感を高めて、離職に歯止めをかけることができないだろうか。

 このように申し上げると、「会社としてはいろいろな努力をしているが、コロナ禍で環境が厳しいのでやりがいを提供できない」「そもそも、人それぞれ何にやりがいを感じるかはさまざまなので、対応することが難しい」という声が上がる。

 中には、「やりがいを感じる仕事が、そんなにあるわけがない」「仕事なのだから、自分に合わない仕事も辛抱して取り組むべき」「やりがいを感じないということは、結局うちの会社と合わないということなので、辞めてもらった方がよい」というような、諦観した意見もある。

 確かに、何にやりがいを感じるかは人それぞれなので、100人が求めるやりがいに、100通りの対応をすることは難しい。しかし、人それぞれのやりがいの「元になる要素」に着目して、やりがい・達成感をその場で高めることは可能だ。