レオスのこれからの20年
南 もうすぐレオス20周年ということで、おめでとうございます。その次の20年間の人生をどうお考えですか?
藤野 次の20年、めちゃ楽しいんじゃないかなと、いままで以上にね、思うんですよ。こないだ核融合の会社に個人で投資しました。核融合の会社で、Helical Fusion(ヘリカルフュージョン)っていう会社に投資したんですよ。核融合スタートアップなんです。岐阜にある核融合施設を使っている人たちで。核融合はあと20年で商業炉ができるかもしれないっていう話なんです。おもしろくありません? 20年間で核融合ができたら、これこそゲームチェンジじゃないですか。
南 そうですね。私は理系で化学を専攻していました。原子核・プラズマも勉強しましたが、実生活でその単語を初めて聞きました。
藤野 いまあるさまざまな石油とか、それから小麦とかをめぐる争いとかって、もう、「マッドマックス」の世界ですよね。
南 奪い合いですね。限られた化石燃料の奪い合いで価格が高騰している。
藤野 そう。もう、そういうのやめようよっていうのは、やっぱりテクノロジーチェンジしかないんです。
南 奪い合うんじゃなくて、つくり出そう、生み出そうと。
藤野 そこにかけるほうがおもしろい。ただし、20年かかる。でも、20年かかって、核融合できたらおもしろいじゃないですか。自分が投資した会社が核融合の歴史の中で、一つのチャレンジャーとして挑戦していって、それが結果的に社会に対してインパクトがあったら、めちゃおもしろいですよね。そういうのがいっぱいある。投資って本当に未来をつくることなので。そういうような案件がスタートアップから中堅中小企業、上場企業までいっぱいある。それをやり続けるっていうのが、自分の大事な仕事だと思う。経営者とか投資家としてのキャリア、経験値とか上がっているので。その分、前よりはパワーをさらに発揮できる。そのパワーを使って、よりよい、おもしろい社会をつくっていくということに対して、この20年まだ楽しめるかなって思っていますね。
南 なるほど、ワクワクしてるというか。次の20年も注目させてください。
藤野 そうですね。
南 最後1点だけ、質問させてください。藤野さんの哲学って長期投資じゃないですか。しかし直近1年間の「ひふみのあゆみ(=運用レポート・運用報告書)」を毎月見てると、トップ10社がかなり変わるなという印象を持っています。「ひふみ」は、日本企業で僕が一番注目しているとある会社を持っていました。それが2021年ある時期に割合が減って、Top10から転落したんですよ。その瞬間に僕、びっくりしちゃって。なんか不思議な感覚を持っちゃったんですよ。あれっ、長期投資なのに何だろうと思って、すごく疑問に思ったんですけど。ところがこの3月、4月にTop10に戻ってるじゃないですか。そこはどうお考えですか?
藤野 それには理由があって。一つはそのぐらいから佐々木靖人さん(ひふみ投信運用責任者・ファンドマネージャー)に任せているんです。だから僕自身のやり方じゃないところも出てきている。中身をどうするかっていうことに関しては、それぞれのファンドマネージャーの意見がある。だから、僕の忠実なコピーをつくることがいいとは限らない。
南 あえて違う価値観の人をトップに置くとYouTubeでもおっしゃってましたね。
藤野 彼とは全然違うキャラなので、それは任せる。ただ、「ひふみ」にはいくつかのキャラクターがある。世の中のためにちゃんと考えるということ、変幻自在ということと、パフォーマンスを上げるっていうことがあるのでね。この三つをやれていれば、佐々木さんがその次の候補者を見つけて、そこにパスすればいい。でも逆に、この三つができてなかったら、佐々木さんが代わるかもしれないというところがあると思う。信じて託すっていう面で見れば、「佐々木、君は君のやり方でやりなさい」っていうことだと思うんだよね。ただ、先ほどの会社も根本的にはずっと比率を変えたりしながら、持っているので。そういう面で見れば、彼の時間のタイミングと、僕の時間のタイミングが違うという、たぶんそういう話だと思うんだよね。でも、結果はどうなるかわからないね。
南 言いにくいことだったかもしれませんが、ありがとうございます。引き続きまた毎月「ひふみのあゆみ」を見るのを楽しみにしてます。アップされた日に「世界最速」で見ています。これからも藤野さん個人も「ひふみ」も、どちらも応援させてください。
藤野 いやいや、言いにくいことは何もなかったですよ。ありがとうございます。